終活は全世代に必要。特に高齢者は親子での終活がおすすめ!
こんちには。行政書士安藤あつゆき事務所代表の安藤です。
これまでブログは当事務所のサイトとは別のサイトにアップしておりましたが、サイトのリニューアルに伴い、今後はこちらにアップしてまいります。
また別サイトにアップしていた記事のうち、生前対策(終活)関係の記事は順次こちらに移行してまいります。
本日はそのうち、2019年6月8日にアップした記事を(修正も加えながら)お届けいたします。
それでは、どうぞ♪
目次
- ○ 若い世代には終活は必要でない?
- ・夫が亡くなってしまった場合
- ・妻は全財産を相続できない?
- ○ 利益が相反する行為とは
- ○ 『一行遺言』をしておけば万全だった
- ○ 終活は親子で
- ・安藤加津さんの事例
- ・元気なうちから話し合いを!
- ・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」も大切
- ○ 美輪明宏さんの言葉
若い世代には終活は必要でない?
「終活は高齢者に限らず、どの世代においても必要なものですよ。」
私がこうお話しすると「いや、いくらなんでも20代や30代では必要ないでしょ?」という質問が返ってきます。
こうした場合、私は以下のような例をあげてお答え致します。
夫が亡くなってしまった場合
小学生と中学生の2人の子供がいるご家族を想像してみて下さい。
そのご両親は2人とも30代とします。
一見、終活にはまだ早いご夫婦かもしれません。
ただ不幸にも、夫が30代で亡くなってしまいます。(病気、事故、災害...この世は何が起こっても不思議ではありません。)
この場合、妻と子供2人の計3人が夫の相続人となります。
妻は全財産を相続できない?
子供2人が小学生と中学生であることを踏まえれば、妻が夫の全遺産を相続するのが一般的でしょう。
「ならば妻が全遺産を取得できるように、3人で遺産分割協議を行えばよいのでは?」と思われるかもしれません。
しかしながら、妻と子供2人の3人だけで遺産分割を行うことはできません。
その理由は民法に記載されています。
「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。」(民法826条1項)
この条文は、親と子供(未成年)の間に「利益が相反する行為」がある場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求してくださいね、というものです。
利益が相反する行為とは
「利益が相反する行為」?
親と子供が行う遺産分割協議が「利益が相反する行為」となる?
以下に簡単にご説明致します。
そもそも遺産分割協議とは「遺産をどう分けるかの話し合い」です。
例えば、夫の遺産が5,000万円だったと仮定します。
民法が定めている法定相続分を適用すると、妻が2,500万円、子供2人は1,250万円ずつという分け方になります。
ただ子供がまだ学生ということを踏まえれば、妻が全遺産を相続したいと思うことも自然なことであります。
しかし妻が2,500万円→5,000万円と相続分を増やせば、子供は1,250万円→0円と相続分が減ってしまう。
このことが、「利益が相反する行為」ということ。
従って未成年の子供が含まれる親子が遺産分割協議を行う場合は、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に請求し、その特別代理人を含めて遺産分割協議を行わなければならないのです。
『一行遺言』をしておけば万全だった
愛する夫が亡くなり悲しみの真っ最中であるのに、こうした裁判所への手続きをしなければならないというのは、とてもつらいものです。
ところが夫が遺言書を作成しておいたならば、話しは一転します。
しかもその内容も、「私の全遺産を妻○○に相続させる。」というシンプルなもの。
この一行の遺言書を夫が作成しておくだけで、遺された妻は煩わしい手続きを経ることなく、夫の遺産を相続できるようになるのです。
「まだ20代、30代なのに終活は...」と思っていらっしゃる方も、この『一行遺言』ならば気軽に終活ができるのではないでしょうか。
※ちなみに、遺言書は15歳以上から書くことができます。
終活は親子で
と、これまで若い世代の方のための終活に関し述べてきましたが、そうは言っても、高齢の方のほうが終活を行う必要性は高いのも事実です。
しかも以下にご紹介するように、親子で終活を行った方が“悔いが残らない”と私は思います。
安藤加津さんの事例
"エッセイストでコメンテーターの安藤加津さん(70)が、認知症の実母を自宅で世話した日々と、介護中から13年間苦しんだうつ病の経験をまとめた「“介護後”うつ」を出版した。「高齢化社会で、だれもが介護と向き合う可能性がある。でも、私のようなつらい経験をしてほしくない」"
引用元:朝日新聞(2019.2.5)
安藤さんはお母様の介護中にうつ病と診断され、お母様が亡くなった後もうつ病が続きました。(「燃え尽き症候群」により、お母様の亡くなった後の方が、むしろ“悪化した”そうです。)
元気なうちから話し合いを!
そんな介護の経験を振り返ってまとめた著書には、『実用編』もあるとのこと。
"たとえば、「元気なうちから話し合いを!」。よかれと思ってしたことでも、自分の考えを晩年の母に押しつけてしまった、という悔いが残った。「先延ばしにせず、どんな介護をしてほしいか、家族で明るく話しあって。私も娘たちにしっかり伝えています」"
引用元:朝日新聞(2019.2.5)
やはり当事務所が推奨する『お話し合い終活』をしておかないと、「悔いが残った」と感じてしまうことになるようです。
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」も大切
また治療方針に関し、家族で『お話し合い』をすることを「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と言い、厚生労働省はその愛称を“人生会議”と決定し重要視しております。(アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)に関しては、→こちらのブログをどうぞ♪)
当事務所ではアドバンス・ケア・プランニングも含め、終活のご相談をお受けしております。
ぜひ、お気軽にご連絡して頂ければ幸いです。
美輪明宏さんの言葉
最後に、安藤さんがお母様の介護の渦中に「芸能界の大先輩にかけてもらった言葉」をご紹介して、本日は終わりにしたいと思います。
"美輪明宏さんは、夫の映画づくりで借金を抱え、母の病気も大変、とこぼす安藤さんに言った。「病気といってもお母様はご存命、ダンナも元気で生きてる。子どもだって2人もいる。それ以上、何が大切?」"
引用元:朝日新聞(2019.2.5)
本日の記事は以上となります。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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